- Q. IPv4アドレス在庫枯渇によって、家庭で利用しているインターネット接続サービスへ何らかの影響はありますか?
-
A.
- 既にISPと契約しインターネット接続を利用しているユーザー:
-
少なくともすぐに大きな影響は無いと考えられています。
但し、ISPのIPv4アドレス在庫枯渇への対応策によっては、
サービス内容、
サービス品質あるいは料金等が変更される可能性もあります。
PCやブロードバンドルータなどにおいて、
ISPのサービス内容の変更に応じた設定変更が必要となる可能性があります。
詳しくはISPにお問い合わせください。
- 新たにISPと契約するユーザー(引越しなど新たに回線を引きなおす場合含む):
-
IPv4アドレス在庫枯渇に対応したサービスを契約することになり、
ISPのサービス内容によって何らかの制約がある可能性があります。
- Q. 企業でインターネットを利用しているユーザーにはどのような影響がありますか?
-
A.
既にISPなどと契約して利用しているインターネット接続について、
すぐには影響ないと考えられます。
しかし、企業内の新たな拠点の接続や、
インターネット内のIPv6ユーザーの接続などに影響が出てくる可能性があります。
IPv4アドレス枯渇後は、以下のような点に考慮が必要になります。
- インターネット内にIPv6のみで接続するユーザーが出現するため、企業の公開Webサーバなどは、IPv6によるアクセスも可能とする。
- 社外からのリモートアクセス時に、IPv6しか使えない環境でも接続を可能とする。
- 新規の拠点(海外含む)を開設する場合、IPv4アドレスの割り当てを受けることができない可能性がある。
- Q. 企業のシステム管理者にとってどのような影響がありますか?
-
A.
インターネット内にIPv6のみのユーザーが出現してきますので、
企業の公開Webサーバなど、
インターネットと直接接続している領域(DMZ)は、IPv4だけでなく、
IPv6でもアクセスできるようにしていく必要があります。
また、これはIPv4アドレス枯渇の直接的な影響ではありませんが、
最近のPC等の端末は、デフォルトでIPv6通信が可能となっています。
そのため、
イントラネット内に「予期せぬIPv6による通信」が行われる可能性があります。
システム管理者としてはその点に対する考慮も必要になります。
- Q. インターネットVPNを利用しているのですが枯渇によって何か影響が出ることはありますか?
-
A.
既存の接続については影響はないでしょう。
ただし、新規の拠点とインターネットVPNで接続する際には、
新たにIPv4(グローバル)アドレスが調達できなくなる可能性があります。
- Q. 現在会社では外部のホスティングサーバを利用していますが、何か考慮することはありますか?
-
A.
サーバの増設時などには影響を受ける可能性があります。
ホスティングサービスを提供している事業者にご確認ください。
- Q. 現在利用しているデータセンターで十分なIPv4アドレスが確保されていると聞いてますので、特に問題ないと考えてもいいのでしょうか?
-
A.
既存のサービスを継続して利用するだけなら問題ないでしょう。
ただし、新たなサービスを契約する際には、
(料金が変わるなど)従来と異なる条件になる可能性があります。
またIPv6のみで接続するユーザーへの対応も、
いずれは必要になります。
- Q. 現在会社で使ってるIPv4アドレスが回収されてしまうことはありますか?
-
A.
JPNICなどのインターネットレジストリ(NIR、
RIR)から直接取得したアドレスが回収されることはありません。
一方、ISPから取得したアドレスの場合、ISPの考え方次第ですが、
強制的にアドレスを回収することはないと考えられます。
- Q. 弊社ではネットワーク設備の更新時期ですが、どういった対応を行うのが望ましいでしょうか?
-
A.
今後調達するネットワーク機器については、
基本的にIPv6にも対応する機種を選ぶべきでしょう。
- Q. 通信事業者やシステムインテグレータなどはこの問題に対し、どの程度、精通しているのでしょうか?
-
A.
ISPなどのサービス事業者にとってIPv4アドレスの枯渇は、
死活問題になる場合もあるため、多くの事業者が真剣に取り組んでいます。
システムインテグレータの場合、専門が分かれるため、
現状ではISPなどを顧客としている事業者が先行しています。
- Q. 企業の枯渇対応としてはどのようなことをすればよいのでしょうか?
-
A.
企業のネットワークの場合、
IPv4アドレスが枯渇してもすぐに既存のイントラネットなどの通信に影響があるわけではありません。
ただし、IPv4アドレス枯渇後はインターネットの中に
IPv6のみのユーザーが出現しますので、
企業の公開WebサーバなどがあるDMZ領域はIPv6と
IPv4のデュアルネットワークにしていく必要があるでしょう。
- Q. 企業のイントラネットもIPv6化する必要があるのでしょうか?
-
A.
IPv4アドレスが枯渇したからといって、
企業のイントラネットをすぐにIPv6化する必要はありません。
ただし、今後はほとんどのネットワーク機器、サーバ等のOS、
ミドルウェア、アプリケーションがIPv6にも対応していきます。
従って、IPv6の普及が進み、
- IPv6を利用することで従来にない新たなサービスが受けられる。
- IPv4でメンテナンスするよりIPv6の方がコストが下がる。
状態となれば、
イントラネットへのIPv6導入も検討する必要があります。
- Q. 現在割り振られているIPv4アドレスがまだたくさん残ってる状況ですので、すぐには影響ないと考えていますが?
-
A.
自社の顧客収容だけを考えればすぐには影響が出ないと思われますが、
顧客の接続相手がIPv6アドレスしか持っていない可能性が出てくるため、
IPv6への対応は必要になると考えられます。
- Q. ホスティングサービスを提供しています。今後新規のお客さん増える計画はないので対応は必要ないと考えていますが?
-
A.
顧客のホスト(コンテンツ)に対して
IPv6インターネット側からのアクセスが対応できないことになります。
それにより顧客がIPv6に対応した事業者に 移行する可能性もあります。
- Q. ISPとしていつまでに何に対応しなければいけないか教えてください
-
A.
対応については各事業者の状況により異なりますが、
顧客に対して新規にグローバルIPv4アドレスの割り当てができなくなる時期に向けて、
IPv6によるインターネット接続サービスの提供とグローバルアドレスを利用しない方法による
IPv4インターネット接続を提供できるよう準備を進める必要があると思われます。
時期については、IPv4アドレス枯渇対応タスクフォースのアクションプランでは、
2011年4月を目処とした対応を推奨しています。
- Q. NATを使えばIPv4アドレスが足りなくなることはないのではないですか?
-
A.
NAT技術の利用はIPv4アドレス在庫枯渇への対応策の手段の一つととして、
技術方式や課題についての検討が進められています。
その一つとしてLSNAT(Large Scale NAT)なども検討されていますが、
多重NAT構成となることからuPnP、
P2Pアプリケーションにおいて利用ができなくなる可能性があります。
また、一つのIPアドレスで行う通信を、
複数のユーザーが限られた数の
TCPポートを分け合って利用する形となりますので、
一度に使うセッション数の多いWebコンテンツなどでは表示速度が極端に遅くなったり、
一部の画像が表示できないなど、
サービス利用上の制約が出てくる場合があります。
このためIPv4アドレス枯渇時期の一時的な対応策に留まり、
根本的にはIPv6による対応が不可欠になると考えています。
- Q. 現在割り振りを受けているIPv4アドレスブロックが回収される可能性はありますか?
-
A.
JPNICなどのインターネットレジストリなどが分配済みで、
ユーザーが実際に利用しているアドレスを回収することはありません。
もちろん、
未利用の空間があればポリシーに従って返却するなど、
有効利用することが望まれます。
- Q. お客さんに割り当てているIPv4アドレスを回収する必要が出ててくる可能性はありますか?
-
A.
事業方針や提供しているサービスポリシーによります。
優先順位の低いサービスで利用している
IPアドレスをより優先度の高いサービスに付け替えるといったことも、
事業者の方針としては考えられる可能性はあります。
- Q. 本当にIPv6対応を行わないとダメなのでしょうか?
-
A.
IPv6対応の是非については当然各事業者における判断によります。
しかし、
NTTのフレッツ光ネクストのIPv6対応によりIPv6接続に対応するアクセス網とそれを利用したインターネット接続サービスが大規模に開始される見込みですので、
それ以降はIPv6でアクセスするユーザーが確実に存在することになります。
- Q. IPv4-IPv6トランスレータを活用することで、既存のユーザーに影響を与えること避けることができると思うのですが?
-
A.
IPv4/IPv6の共存環境においてトランスレータの活用は有効な手段の一つと考えられます。
しかしトランスレータを介した通信において、
既存のアプリケーションなどの利用に問題が出る可能性もあります。
- Q. 利用されていないIPv4アドレスを事業者間で融通したり、取り引きすることを活発化させることで、当面の枯渇対応を先送りすることができると思うのですが?
-
A.
利用していないまとまった空間を融通しあうことで一時的には有効な対応策になると考えられますが、
本来の需要に対応する量のアドレスをタイムリーに確保できる保証がないため対策としては不十分と考えます。
- Q. CATVオペレーターですが、DOCSIS3.0対応機器が出るまでIPv6対応ができず推奨期限までの対応が不可能なのですが?
-
A.
CATVネットワークのIPv6対応に関しては、DOCSIS3.0への対応も含めて、
現在も継続してさまざまな技術検討が行われているようです。
日本ケーブルラボなどから提供される最新の技術情報などを確認するようにしてください。
- Q. 現在ASPサービスを提供していますが、サーバ増設計画がなければ現状のまま特に枯渇対応などを行う必要はないですか?
-
A.
IPv4アドレスの枯渇後にIPv6アドレスのみによってアクセスしようとするユーザーが登場してきます。
そのため、サーバの増強の有無に関わらず、
このアクセスを受けるための対応が必要になると思われます。
- Q. ニュース提供サイトを運営しています。現在記事の作成、配信までシステムで自動的に行っています。もしIPv6対応する場合、v6アクセス用のサーバにも同様のシステムを作りこむ必要があります。その対応コストを賄うくらいのアクセスがあるのでしょうか?
-
A.
今後IPv6のみのユーザーが徐々に現れてくることは間違いないと思われますが、
サイトへのアクセスがどの程度になるかは、
コンテンツの内容による部分も大きいと思われます。
- Q. サービスのIPv6対応を進めようと思いますが、IPv4のコネクティビティも確保しておく必要があります。そのためのIPv4アドレスを調達することは可能でしょうか?
-
A.
今IPv4アドレスが枯渇した後も、新規の事業者およびIPv6への移行のために利
用されることを想定し、1組織につき1回まで、/22の割り振りを受けることが
可能です。
手続きについては、JPNICのWebサイトをご確認ください。
- Q. Webアプリケーションの開発をしていますが何か対応すべきこと、あるいは今後気をつけておくべきことはあるでしょうか?
-
A.
プログラムが使用するライブラリや実行環境、
開発環境などがIPv6に対応に対応していることを確認してください。
開発言語のバージョンによっても対応状況が異なる場合があるので注意が必要です。
実行環境としては、
ミドルウェアやDBMSなどのIPv6対応状況にも注意が必要です。
また、プログラムのソースコード中に直接IPアドレスを書くことは避け、
これから開発するプログラムは、
IPアドレスのバージョンに拠らない構造で設計してください。
- Q. システムインテグレータとして枯渇への対応を何か考える必要があるでしょうか?
-
A.
SIerといっても対象が広いのでさまざまなケースがありますが、
顧客は大なり小なりIPv4アドレス枯渇の影響は受けることが予想されます。
顧客サポートや今後のビジネスのためにも、
ベンダから提供される機器やソフトウェアを、
実際のIPv6環境などで事前にきちんと検証しておく必要があります。