2011年4月15日に、日本国内のNIR(National Internet Registry)であるJPNICにおいて、通信関連事業者等に対する現行の規約に基づいたIPv4アドレスの通常の割り振りが終了しました。これは、日本を含むアジア太平洋地域のIPv4アドレス在庫が枯渇したためです。この状況について、JPNICは次の通りアナウンスしています。
◇ APNICにおけるIPv4アドレス在庫枯渇のお知らせ
および枯渇後のJPNICにおけるアドレス管理ポリシーのご案内
http://www.nic.ad.jp/ja/topics/2011/20110415-01.html
枯渇が起こってもすぐにインターネットが使えなくなるわけではありませんが、ISP(インターネットサービスプロバイダー)はJPNICからIPアドレスの追加分配を受けることができなくなり、手持ちの在庫にてサービスを継続・展開していくことになります。
そのため、今後の対応を考えると、各事業者は早い段階でIPv6への対応を進めていくことが求められています。すでに多くのISPではIPv6の提供に向けて、準備が進められていますが、このIPv4アドレス在庫の枯渇により、IPv6については「事前準備から実行の段階へ」入り、新しいステージに進んだと言えるでしょう。
この状況に際し、IPv4アドレス枯渇対応タスクフォースの代表である、東京大学教授の江崎浩は、以下のように述べています。
いよいよJPNICの在庫が枯渇しました。約20年間社会の変革を推進して きたインターネットは、新しいステージへと進まなければならない状況になったのです。
IPv6を用いた21世紀のインターネットへの旅立ちが、未曾有の東日本大震災の年に合致しているのは、日本のインターネットコミュニティ に対する啓示なのかもしれません。
我々の社会は、新しいステージへと大きな進化を必要としています。 これまで、新しいステージへの円滑なステップアップを実現するための準備を可能な限り行ってまいりました。 いよいよ、準備の段階から、 実践と実行の段階へと、活動を進行させなければなりません
インターネット自体が、次のステージにステップアップすることになります。各プレーヤが、自身の社会インフラとして必須となったインターネットの構築と運営に関する責任を認識し、その役割を完遂することで、21世紀社会の持続的発展・革新をささえる次世代インターネットの構築に取り組まなければなりません。
新規のIPv4アドレスの調達は実質上不可能になったものの、IPv6への対応を進めていくにあたり、技術的にどう乗り越えていくのかの道筋は見えています。
しかしこれは、誰か一人が対応すれば良いという種類のことではなく、すべての事業者が役割をまっとうすることで成り立つものです。事業者の皆様におかれましては今一度、自社顧客のインターネットの接続性確保と今後のビジネスの拡張を見据え、こうした状況への対応を行っていただきますよう
お願いいたします。
IPv4アドレス枯渇対応タスクフォースでは、事業者別の「アクションプラン(※)」についても再度アップデートしています。このプランをご覧いただければ、何をどうすべきかが記載されています。まだ対応がお済みでない場合には、こうしたアクションプランや、タスクフォースのWebページの情報もぜひご活用ください。またご不明点等は、末尾に記載の、IPv4アドレス枯渇対応タスクフォースの参加団体にもお問い合わせください。
(※)IPv4アドレス枯渇対応 アクションプラン 2011.4版
http://kokatsu.jp/blog/ipv4/data/actionplan-201104.pdf
(※)対象者別アクションプラン・ガイドラインサイト
○ISP向け資料集: http://kokatsu.jp/blog/ipv4/data/isp.html
○CATV事業者向け資料集: http://kokatsu.jp/blog/ipv4/data/catv.html
○iDC向け資料集: http://kokatsu.jp/blog/ipv4/data/idc.html
○ASP/CSP向け資料集: http://kokatsu.jp/blog/ipv4/data/asp-csp.html
○ユーザー向け資料集: http://www.kokatsu.jp/blog/ipv4/data/user.html
■本件に関するお問合せ先
IPv4アドレス枯渇対応タスクフォース 広報ワーキンググループ info@kokatsu.jp
■参考情報: APNIC IPv4 Address Pool Reaches Final /8 (APNICからのアナウンス)